ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「あ。私、佐藤 双葉です。晴日とは、中学からの親友で。」
「聞いてます。晴日ちゃんの夫になる、藤澤 千秋です。」
2人が自己紹介し合う中、双葉を見ながらそわそわとする私。手持ち無沙汰になり、無駄にコーヒーを飲んでいた。
「千秋さん、おいくつですか?」
「ああ、37。」
「うっそ、見えない。10個も違うの?」
「それは嬉しい反応で。」
「てか、昔モデルとかやってました?スタイルいいし、背も高そう。」
止まらない双葉の勢い。思わず笑ってしまう千秋さん。隣で聞いていながら、彼女が余計なことを言わないかと心配だった。
双葉は、生粋のイケメン好き。こうなるのは想像がついていた。
基本、顔でしか選ばないような子で、歴代の彼氏もろくな人はいなかったと記憶している。その上、惚れっぽい。
千秋さんの顔がドンピシャに好きそうなタイプと分かっていながら、連れてくるのはヒヤヒヤものだった。
「もしかして、渋ってた理由ってこれ?」
双葉に聞こえないように、またこっそりと耳打ちしてくる彼。思わず目を逸らしながら、コクリと頷いた。