ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
双葉は、笑顔で帰っていった。
27歳にもなって、まだチャラチャラとしているけど、中身はしっかりしている。1番信頼している親友の言葉に、思わず胸がじーんとした。
「いい友達だな。」
帰っていく後ろ姿を見送りながら、立ち止まる私たち。そんな中、ふと遠い記憶が思い出された。
「私、実は昔いじめられてことがあって、それを助けてくれたのが双葉だったんです。」
当時、受験をして入るような私立中学に通っていた私たち。そんな中学には珍しく、双葉はなかなかのヤンキーだった。
派手な髪で、アクセサリーもしていた。けれど、学校ではトップクラスの成績だった彼女は、そんなことも特別許されていた。
人一倍、責任感が強くて、私のそばにいればいじめられないからと、私の盾になってくれた。
あの頃の私にとって、双葉はヒーローだった。
「私にとって居場所は2つ。家では姉、外では双葉。家族と縁が切れた今、私に残されたのは双葉だけなんです。」
言葉にすると、なんだか妙に虚しくなる。自分の孤独さを痛感しながら、私は駅に向かう道を、先に歩き出した。