ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜

 その時。

 ――ポンッ

 突然、頭が重くなった。


「俺のことも頼ればいい。」

 気づくと、温かい大きな手のひらが、そっと頭の上に置かれている。撫でるわけでも、手をつくわけでもなく。そっと置かれた。


 その一瞬が、なぜか凄く長く感じた。


 ヒールを履いていてもしっかり見上げることができる、180センチはありそうかという背の高さ。手が離れた瞬間、思わず彼を見上げていた。


「今、慰めてくれたんですか....?」

「わざわざ聞くもんじゃないんだけど。」

 こういうのは、確認しちゃいけない。矢島さんにも、よくそう言って叱られた気がする。

 不機嫌そうに言う千秋さんと、くしゃくしゃな笑顔で恥ずかしそうに怒っていた矢島さんの顔が、なぜか重なって見えた。


「あ、だからって必要以上の期待はしないこと!ちゃんと俺の目的、忘れるなよ。」

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