ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
――タララン、タララン
記憶の中に浸っていると、遠くから聞こえてきた音。ベッドに横たわっていた私は、聞き慣れない音に飛び起きた。
「このチャイムの音、まだ慣れない。」
独り言を言いながら、リビングのインターホンへと急ぐ。画面を見ると、立っていたのは配達員の格好をした男性だった。
「お届け物でーす。」
届いた荷物は、大きな段ボール。
なぜか宛先は、私の名前になっていた。
「私、何か頼んだっけ。」
ひとまず、リビングに持ち込んだ荷物を前にそう呟く。机の上に置き、開けようとすると、ふと差出人の名前に目が止まった。
「千秋さん??」
思わぬ相手からの贈り物だった。
「すごく綺麗.....」
中から出てきたのは、シャンパンゴールドのロングドレス。広げてみると、いかにも高そうな総レースの刺繍が施されていた。
ドレスをそっと持ち上げ、姿見の前で自分に当ててみた。こんな素敵なドレス、着たことがない。
その時、電話が鳴った。画面には、タイミング良く千秋さんの名前が表示されており、慌てて手にとる。
「はいっ、もしもし。」
「ああ、ごめんね。今日、晴日ちゃん宛てに荷物が届くからって、朝言うの忘れてて。」
その瞬間、携帯を耳に当てながら、持っていたドレスに視線を落とす。荷物とは、やはりこれのことだろうか。