ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「まあ、安心したよ。2人が仲良くやってるみたいで。親にも紹介されるなんて、ちゃんとやってるじゃん。」
しかし、彼は何事もなかったかのように話を続けた。
どうして反応に困っていたのかも、何に引っかかったのかも分からない。
私は変なモヤモヤとした感情を残したまま、ひとまずそう続ける彼の言葉に耳を傾けていた。
「俺、正直、偽装結婚なんて信じてなかったんだ。」
「え、婚姻届、サインしてくれたのに?」
「そりゃ、あいつは親友だし、することはしたけど。結婚に興味なかったと思ったら、ついこの前会ったばっかの晴日ちゃんと急にってさ。すぐに信じろって方が......」
その時、零士さんの顔が急に青ざめた。私のずっと後ろを見つめながら、戸惑ったような表情をする。
「零士さん?」
私はわけが分からず、視線を追うように後ろを振り返った。
その瞬間、心臓が止まるかと思った。
「何で......」
体が動かない。目も離せない。
なぜかそこには、矢島さんがいた――