ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
しばらくテレビを見ながらダラダラとした時間を過ごしていると、1時を差す時計に気づき、おもむろに立ち上がる双葉。
「もうこんな時間か。お昼どうする?なんか食べてく?」
その言葉に、何の予定もない私は、待ってましたと言わんばかりに間髪入れずに頷いていた。
「まったくもー、働け?」
「すみませーん。」
そんな風に言いながらも、なんだかんだで優しいのが双葉。キッチンに向かって冷蔵庫を開けながら、何にしようかと唸っていた。
「何がいいかなー。あ、ホットケーキでも......」
そして、思いついたように言いかけた時、双葉の携帯が鳴った。
話を途中に、自然と背を向けて電話に出る。ところどころ言葉が聞こえてきて、その話し方からして、どうやら仕事関係の連絡のようだった。
「え、今からですか?」
もらっていたコーヒーを飲みながら、ついていたテレビをボーッと眺めていると、何やら不穏な空気が漂い始める。
ふと目をやると、双葉は困ったように髪の毛をくしゃりと掴んで、眉間にシワを寄せていた。
「あー、分かりました。なるべく急ぎます。」
そして、そう言って電話を切ったのも束の間。余裕がなさそうに、何も言わずにリビングから消えた。
目をパチクリさせながら一人取り残され、とりあえずコーヒーを一口飲んだ。