ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
数分後。リビングに戻ってきたかと思うと、着ているものがガラリと変わっていた。
「ごめん。一人、スタッフが熱出したらしくて、急遽出てくれないかって。この後も結構予約入ってるから、ちょっと行ってくる。」
双葉は、ネイリスト。ダラダラとしたスウェットから、いつもの原色カラーの派手な格好に変わり、ピアスをつけながら鏡越しにそう言ってくる。
「え、仕事行くの?待って。礼央は?」
それから、バタバタと忙しなく動く様子を目で追い、私はあたふたとしていた。
「礼央ー!ちょっと来て!」
「なにー。」
「あんたさ、晴日とお留守番できる?ママ、仕事になっちゃって。」
「え、まじ?任せろ。晴日のことは、俺がちゃんと見てるから。」
「調子のんじゃない。お願いします、でしょ?まったく誰に似たんだか。」
放ったらかされ、もう目が点。
奥の部屋から出てきた礼央と、視線を合わせるようにしゃがみ込む双葉。そして、ポンポン言い合う二人をぽかんと見つめる私。
いろんなことにツッコミたくなりながら、最後の一言には心の底から思う。
――完全に、双葉の血だろう