愁い流して
なか「勇気さん、本当は無理してない?」



「何でですか?」



なか「歳があなたを引き止めたから本当は行かないといけない所があるんじゃないのかい?もし無理してここに留まってくれているのなら気を遣わなくていいのよ?」



「それは本当に無理していないので安心してください。
むしろ泊めていただけて助かっています。
行くところがなかったので」



なか「そうかい。旅人と言っていたね、深くは聞くつもりはないけど。
うちはいつまでいてもらってもいいから」



「ありがとうございます」



なか「お礼を言うのはこっちよ。
歳はねあなたと会う前に奉公に出ていたんだけどそこの番頭と揉めてしまってね。
かなり距離のあるところから歩いて帰ってきてしまったんだ。
私も喜六さんも説得したんだけど強情でね、戻らず道行く人にちょっかい出しに行っては困っていてね。
だけど勇気さんが来てからはあなたにべったりで家事も積極的に手伝ってくれてとても嬉しいの。ありがとう」



「いえ、そんな」



歳「おーい!二人とも何やってるんだー?」



土方さんが駆け寄ってきた



なか「少しお話していただけよ。
歳もお茶飲む?」



歳「いや、水飲むからいい!
それより師匠!
稽古お願いします!」



「ああ、再開しようか」
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