恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
いつになく優しい先生をじっと見つめていると

「あぁ、良かった。沖田先生ちゃんときてくれたんだね」

と医院長がにこにこしながら近づいてきて、私たちに声をかけてきた。

穏やかなよく知る医院長の姿を見て、緊張がとけてホッとする。
そんな私の状況を感じとってしまったのか、医院長は申し訳なさそうな顔をして私に頭下げた。


「すまないね、本多さん。大切な休みの日に君まで巻き込んでこんな会に参加させてしまって」


「いえ、とんでもない!気になさらないで下さい。私なら大丈夫ですから。

それに、沖田先生の行くところなら何があってもどんなところでも私はついていきますので!」

いつもの元気さを取り戻した私は、にっこり笑い拳を握り、胸を張ってドンと自分の胸を勢いよく叩いた。
そんな私を見て、医院長は頬を緩め

「ははっ、相変わらず元気で頼もしいね本多さん。
これなら沖田先生に悪い虫がつくすきも与えないねぇ。
沖田先生を紹介してほしいって声が君が会場にきてからあとをたたなくて私もちょっと困っていてね」

再び申し訳なさそうな顔をして苦笑いした医院長に、私は繋がれていた手を振りほどいて先生の腕をぎゅうっと掴んだ。

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