恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
あと6ヶ月(沖田)
「ったく、何なんだあいつ」
階段を降りながら、抱きついてきた彼女の柔らかな感触と彼女の残り香が俺の身体にまとわりつく。
途中で立ち止まり、いるはずのない姿を求め、上階を何気なく見上げてしまった。
あと6ヶ月。
半年後に俺は彼女を手放さなければいけない。
いや、手放すつもりだ。
無邪気に職場の仲間に俺の妻になることをはしゃぎながら話していた彼女の姿に胸が痛んだ。
たとえ半年でも側におくべきではなかったと今更ながらに後悔する。
きっと、その時がきたら、俺は彼女を深く傷つけてしまうのだろう。
つまづいて抱き止めた俺に、ぎゅっと抱きついてきた彼女。
周りには甘えて抱きついたように見えていただろうが、背中に回された手は、微かに震えていた。
緊張と高揚で一気に上がった体温は、服越しにもその身体の熱が俺にも伝わる。
尋常ではないくらい早いリズムを刻んでしまった彼女の鼓動に危うく俺まで同じリズムを刻みそうになり、すぐに彼女を引き離した。
名前を呼ぶと、弾かれたように背中の手はすぐに離され、見上げる瞳は微かに揺れる。
俺を離したくない離れたくないそんな不安そうな表情をしているようだと勝手に読み取ったのは俺の自惚れと勘違いだろうか。
「はぁ…」
浅く息を吐き出し、ざわつく階下のフロアーへ再び足を進め、彼女のことを一端脳内から追い出して、仕事のことに切り替えた。
階段を降りながら、抱きついてきた彼女の柔らかな感触と彼女の残り香が俺の身体にまとわりつく。
途中で立ち止まり、いるはずのない姿を求め、上階を何気なく見上げてしまった。
あと6ヶ月。
半年後に俺は彼女を手放さなければいけない。
いや、手放すつもりだ。
無邪気に職場の仲間に俺の妻になることをはしゃぎながら話していた彼女の姿に胸が痛んだ。
たとえ半年でも側におくべきではなかったと今更ながらに後悔する。
きっと、その時がきたら、俺は彼女を深く傷つけてしまうのだろう。
つまづいて抱き止めた俺に、ぎゅっと抱きついてきた彼女。
周りには甘えて抱きついたように見えていただろうが、背中に回された手は、微かに震えていた。
緊張と高揚で一気に上がった体温は、服越しにもその身体の熱が俺にも伝わる。
尋常ではないくらい早いリズムを刻んでしまった彼女の鼓動に危うく俺まで同じリズムを刻みそうになり、すぐに彼女を引き離した。
名前を呼ぶと、弾かれたように背中の手はすぐに離され、見上げる瞳は微かに揺れる。
俺を離したくない離れたくないそんな不安そうな表情をしているようだと勝手に読み取ったのは俺の自惚れと勘違いだろうか。
「はぁ…」
浅く息を吐き出し、ざわつく階下のフロアーへ再び足を進め、彼女のことを一端脳内から追い出して、仕事のことに切り替えた。