恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
***
「本多ーっっ、沖田先生食堂向かったって」


外科からの内線電話を受けた尾崎さんが事務所から休憩室でうとうとしていた私に大声で叫んだ。

ここで働くようになってから7年。私本多真琴(ほんだまこと)晒名(さらしな)総合病院の外科医のエース、沖田直紀(おきたなおき)先生に片想いなのは今ではすっかり院内で有名だ。

1年目。
同じ病院でも話すことも姿をみることもままならず、思いきってバレンタインに渡したチョコレートは突き返され、私は沖田先生にあっさりとふられた。(しかしこの年先生に玉砕したのは私だけではない。若手の看護師たちはみな同じように撃沈して申し訳ないが内心とてもホッとした)

2年目。
クールなところが格好いいと騒がれていた先生だったが、"厳しい" "冷たい" "無愛想" と看護師たちが囁き出して沖田先生の人気が急降下して私は一人ニンマリとした。

だけど…。

昨年と同様チョコレートは突き返され、2度目の告白もあっさりと玉砕した。


3年目。

栄養科職員全員に、私が沖田先生が好きで好きで、ふられてもふられても食い下がっていることが広まり、同情され応援される。

だけど、この年のバレンタインもこれまでと同じように撃沈した。
< 5 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop