恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
***

順調に仕事が進み、珍しく定時に仕事を終えた俺は長居せずにさっさと病院を後にした。

早く帰り支度をする俺に

「早いな沖田先生。彼女とデートですか?」

と同僚たちから冷やかしの声をかけられ、面倒くさくて開き直って

「そうです。定時に上がれたんだから当然ですよ」

とあっさり事実を口にした。

いつもの無表情で淡々と答えたつもりでいたが、微かに上がってしまった口角に、同僚たちの目が大きく見開く。

動きを止めた同僚に、自分で思っている以上に、彼女と会うことを楽しみにしていることが顔に出てしまったことに、自分でも驚き、逃げるように足早に医局を飛び出した。

帰宅してすぐに、頭を冷やすために冷たいシャワーを頭から浴びた。

冷めたいシャワーはすぐに頭をスッキリさせてくれて、冷静さを取り戻したのを認識して身体を温めるため熱い湯に切り替える。

芯から冷えてしまった身体が温まったのでシャワーを終えて、通勤着のスーツからTシャツ、ジーンズというラフな服を選んだ。

昨夜のこともあるので真琴が悩まないように彼女の携帯に『洒落た店には行かないからラフな服でこい』とメッセージを送る。

 20時半、真琴から仕事が終わったと連絡があり、俺はまたいつもの花屋で一輪の薔薇にカスミソウの花束を購入して真琴の家に向かった。
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