恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
昨日のラーメン屋に続き、今日も俺がよく夕飯を食べに行く店に向かう。

昔からある古い店だが、珍しく個室もある赤提灯をさげた焼き鳥や。

外観はとても古く、店内も年期が入ってはいるが、掃除がしっかりいきとどいていて俺にはしっくり落ち着く居心地のいいお気に入りの店だ。

のれんをくぐるとすぐに店内に充満している焼き鳥の美味そうな匂いに唾を飲み込む。

今すぐ焼き鳥にかぶりつきたくなる美味そうな食欲をそそる香りだが、煙りで厨房も店内もなんとなく白くモクモクしていて、髪や服に臭いが移る。

それでも炭火で焼いている焼き鳥はとにかく美味い。

もちろん焼き鳥以外のどの料理も美味しくて、酒を飲まなくても食事だけでもお腹をたっぷり満たしてくれるので、1人で夕飯をすますのにうってつけの店なのだ。

当然、俺たちのような付き合いたてのカップルがくるような店ではない。

野郎だけで飲みにきていたり、夫婦で焼き鳥を味わいにきていたり、俺が今まで目にした客層にはカップルの姿など見たことがない。

いつもひとりで訪れる俺の指定席は、カウンターの隅の席だが、今日は彼女に話しがあるので頼んで個室を用意してもらった。 


なんとなく、昨日の様子で想像できてはいたが、彼女は昨夜と同じように、瞳を輝かせて店内を見渡して、満面の笑みで料理を美味そうに頬張った。                      
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