恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
「ここも先生の行きつけなんですよね?」

そう聞いてきた彼女は、頷く俺を見てにこにこ微笑み、頬を紅潮させて何故か嬉しそうだ。

なんでだ?
初っぱなのデートから立て続けに2回だ。

一緒に食事をするのに、彼女に何の気遣いもしないで俺のペースで自分の行きたい店を選んでいる。

まぁわざと愛想をつかされるために、普通の女なら嫌がりそうな店を選んで連れてきているのだが、不服そうな顔をするどころか逆に喜んでいるように見えるのだ。。

「…何でそんなに嬉しそうなんだよ…」

彼女をじっと観察していた俺は、ついボソッと考えていたことを呟いていた。

数回瞬きして首をかしげきょとんとしている彼女に

「怒らないのか?」

そう訪ね顔をしかめている俺とは反対に、彼女は手にした焼き鳥をばくっと頬張って、ぎゅうと目をつぶってから俺に満面の笑顔を向けた。

「んーっ!美味しいっっ!!
美味しいですよ!ここの焼き鳥!
こんなに美味しいお店に連れてきてもらってるのになんで怒るんですか?」

ともう一度首をひねった。

「沖田先生は昨日も今日も、私を美味しいお店に連れてきてくれてますよ?

ふふっ。しかも昨日も今日も、私は先生が初めて連れできた女みたいだし」

「当たり前だ。
普通はデートにこんな店選ばないだろ。 

もっと洒落たレストランで夜景を見渡しながら食事してそのままホ…。ゴホン」
 
思わず『そのままホテルに連れ込む』と言いかけて、慌てて咳払いをしてごまかした。


「う~ん…。
そのまま沖田先生と一緒に"*ホシ"を見るのも素敵ですけど、私はこういうお店に連れてきてくれたほうが嬉しいですよ?」

と無邪気に笑ったが、すぐに表情をころりと変え、口を尖らせ拗ねて俺から目を反らした。。

「まぁそりゃあ私だって好きな人とホシを見ながら愛を囁くの憧れたりしますよ?

でも…。

それは誕生日とかクリスマスとか特別な日だけで十分です」

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