恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
こんな別れの決まっている付き合いにいったい何の意味があるのだろうか。

長い間恋していた気持ちを終わりにする為の、彼女なりの気持ちの折り合いをつけるために必要な時間なのだろうか。

「半年、俺は真琴に手はださないが他の女も近づけないし抱いたりはしない。
 
ただお前は少しでもいいなと思う男ができたなら俺にかまわずそいつとでかけろ。期限は半年だが、いつでもお前から恋人関係を終わりにしてかまわない。」

俺の頭の中に菊池の顔が思い浮かぶ。
あいつのことだ、遠慮なく真琴に声をかけるだろう。

二人寄り添う姿を想像してちりっと胸の奥が微かに痛む。
だが、俺よりもあいつといるほうが幸せになるれるはずだ。

突き放すように冷たい目を向けると

「そんなことっ!
そんなこと私だって絶対にしない!!
沖田先生のことだけ考えて沖田先生の側にいたい。
先生を想う気持ちをこの半年間だけは私から取り上げないで!

お願いします…。
全力で好きでいさせて」

今にも泣きそうな顔で笑顔を作る彼女を今すぐ抱きしめたかった。

テーブルの下で固く拳を握り、彼女から目をそらせて

「好きにしろ。
半年は俺はお前だけのものだ」まっすくな瞳に気持ちを見透かされそうで、彼女から視線をそらすようにそっと目を伏せた。
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