5月31日 朝の話
時間を確認すると自然に目は閉じていた。
目は閉じているが寝ているわけではない。
それに起きなければいけない時間ではなかった。
今まで見ていた不思議な夢の事を思い出していた。
怖い訳ではなく悲しい訳でもなかった。
ただ切なさだけが心の奥底に残っていた。
頭の中を駆け巡る音にならない声に反応し少しずつ回転を始める。
眠りと目覚めの間のまどろみの時間。
まだ眠ったままの身体を起こし
半開きの目でベッドの中を彷徨う。
横になったまま長い前髪をかき上げベッドの横のテーブルに置かれたタバコを取り咥えた。
テーブルの上にあるはずのライターを探すが見当たらない。
腕だけを床に落とし手探りでライターを探す。
しばらく捜してようやく冷たい感触のそれを見つけた。