リアル
「どう?気に入ってくれたかな?」


優しく微笑む杉田純一。


「...ありがとぅ。今直ぐにでもこの靴達を履きたいくらい!」


「じゃぁ茜の素敵な足元を見たいから今、俺の前で履いて。」


「...今?まだ買ったばかりなのに?...もったいなくてまだ履けないよっ!」


「それじゃぁ俺の楽しみが減ってしまうよ。」


そう言うと杉田純一はあたしの手をとり、スタスタと歩きだした。


しばらく歩くと小さな公園があった。


その公園に入ると、趣味の悪い真っピンクのベンチが目についた。


「可愛いベンチがあったね。」


「えっ...趣味悪っ...。」


「そうかな?茜が座れば趣味の悪いベンチも素敵なベンチに見えるよ。だから...ほら...座って。」


そんなクサイ台詞も何故だか杉田純一が言うと、それなりに聞こえてしまうのが怖い所だ。


静かにその趣味の悪い真っピンクのベンチに座ると、杉田純一があたしの靴を脱がしだした。


「ヤダっ!何するの?」


「何もしないよ。ただ茜に新しい靴を履いてもらおうと思って。」


「何もしてなくないじゃんっ。」


ププっと笑いだされた。


「確かに。何もしてなくはないね。」


「ほらっ茜靴を脱いで。」





< 204 / 210 >

この作品をシェア

pagetop