リアル
丁寧に包装された箱を開けると、ラインの細いゴールドのパンプスが出てきた。
「...ちょっと派手じゃない?」
「そんな事はないよ。今日みたいなシックな服装には調度いぃポイントになるじゃないか。」
そう言ってあたしの足首を持つと丁寧に両足に靴を履かせてくれた。
「ほらっ。よく似合うよ茜。」
ニコニコと眩しい笑顔で杉田純一はあたしを見つめた。
そんなに見つめられると照れてしまう...。
「ジュンのばかっ。」
照れ隠しについ毒を吐いてしう。
「馬鹿とは失礼だなっ。」
クスクスっと杉田純一。
さっきまでのもやもやとした気持ちがいっきに吹き飛んで行く様だ...。
「茜ちゃん?機嫌は直ったかな?」
「...まだ直らない...。
フゥ...。
小さなため息。
「ジュンがキスしてくれたら直る。」
「困った子だ...。」
そぅ言いながら軽くあたしの額にキスをした...。
冷たい冷たいキス...。
まったく唇の温かさを感じない...。
けど...
今日はそんな杉田純一の冷めたキスも許せた。
否...。
許してあげる。
「...茜、俺はそろそろ帰るけど、何処まで送ろうか?」
冷めた一言...。
けど今日は許してあげる。