巡り行く季節の中心から【連載中】
新学期初日に、新たなクラスメイトと交流を深めるため与えられた自由時間。
私は席を立たず、春休みからずっと夢中になっている小説を読んでいた。
どうせみんなと話すことなんてないから。
なんとなく雰囲気に便乗しているクラスメイトとくだらない雑談で盛り上がっている間にも、この小説を何ページ読み進めることができるか考えてみると、尚更こんな時間人生の浪費にしか感じられない。
だから向こうでやたら弾んだ声を上げている男子のテンションも、輪になってはしゃいでいる女子の笑顔も、みんなみんな理解できないのだ。
……うるさいなぁ。
早く家に帰って、静かな環境でゆっくり読書したいのに。
透明な耳栓があったら両耳にねじ込みたい。
あの耳障りな声を遮断したい。
そんなことを考えながら、またページを捲ろうとした時だ。