巡り行く季節の中心から【連載中】
「突然だけど友達になりましょう」
「……話し掛けないで」
「一人だとつまんないでしょ?ほら本ばっかり読んでないでさ」


そう言って芳賀さんは私の本に手を掛けた。


「――ッ、話し掛けないでってば!」


ぱしん、と乾いた音がしてハッとする。
私は拒絶の意を示すために、芳賀さんの手をはねのけてしまったのだ。
反射的だったとはいえ、申し訳なさが胸いっぱいに広がって、行き場を無くしていた右手を机の下に隠す。

「……ご、ごめ……なさい」
「あー、いやいやこっちこそ、なんかごめんね。無理矢理嫌がることしちゃって」


俯きがちな私に苦笑いでお詫びしながら、芳賀さんはそそくさと引き下がっていった。
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