巡り行く季節の中心から【連載中】
*
「それでは二人一組でペアを作ってくださいねー」
窓の外にいる蝉の鳴き声がけたたましいある夏の日のこと。
社会科の授業で、歴史の人物についての新聞を作成するという課題が出された。
けれどもちろん私とペアを組んでくれる人なんて見当たらない。
こういうのは隣の席の人と強制的にペアを組ませれば良いのに……。
周囲で次々とペアが決まっていくなか、私はただひっそりと肩を縮めていた。
「米澤さんどうするのかな?」
「ほっとけばいいよ」
みんな私とペアなんて願い下げと言わんばかりに、冷たい視線を投げ掛けてくる。
顔を俯けて視界を閉ざしても、今度は耳に届く悲しい言葉が際立つだけ。
ぎゅっと下唇を噛み締め、泣くのを堪える。
私は今すぐこの場から立ち去りたい衝動に駆られた。
いっそ仮病を装って保健室に逃げてしまおうか。
そんな考えが脳内を巡っていた時だ。
「冬香ちゃん、アタシと組もう?」
手を差し伸べてきたその姿は、天使と見間違えるほど輝いていた。
「それでは二人一組でペアを作ってくださいねー」
窓の外にいる蝉の鳴き声がけたたましいある夏の日のこと。
社会科の授業で、歴史の人物についての新聞を作成するという課題が出された。
けれどもちろん私とペアを組んでくれる人なんて見当たらない。
こういうのは隣の席の人と強制的にペアを組ませれば良いのに……。
周囲で次々とペアが決まっていくなか、私はただひっそりと肩を縮めていた。
「米澤さんどうするのかな?」
「ほっとけばいいよ」
みんな私とペアなんて願い下げと言わんばかりに、冷たい視線を投げ掛けてくる。
顔を俯けて視界を閉ざしても、今度は耳に届く悲しい言葉が際立つだけ。
ぎゅっと下唇を噛み締め、泣くのを堪える。
私は今すぐこの場から立ち去りたい衝動に駆られた。
いっそ仮病を装って保健室に逃げてしまおうか。
そんな考えが脳内を巡っていた時だ。
「冬香ちゃん、アタシと組もう?」
手を差し伸べてきたその姿は、天使と見間違えるほど輝いていた。