巡り行く季節の中心から【連載中】
「私もこんな恋がしたいなあ、とかほざくんだもん。笑い堪えるの必死だったし」
「お前みたいな幽霊じゃ恋愛自体難しいっての」
「まず相手がいない~、みたいな」


……うそ、私のこと?


「しかもさ“私、凛ちゃんと仲良くできてよかった”とか言われたんですけど」
「マジ鳥肌~」
「幽霊うつっちゃうしょー」
「きゃははは」


私のこと……だよね?


「こっちも本気で仲良くしてあげてるって思い込んでるのかな、あの幽霊女」


ガラ、と力無くドアを開ける。
すると凛ちゃんと数人の女の子達が、唖然とした表情をこちらに向けてきた。

視界が揺れる。唇が震える。足が竦む。
不安定な私は重く心に圧し掛かってくる現実に、へたり込んでしまいそうになった。
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