穂先輩が甘々すぎる。



今は初夏だから、たった少し自転車を漕いだだけで全身が汗ばんだ。


本屋さんは後にして、先に図書館で勉強しようっと。


先に本を買ったら図書館で読んじゃいそうだから。


そんなことを思いながら、有料の駐輪場に自転車を止めた。


私が自転車を停めた駐輪場から図書館までは方向が真逆で、少し歩かないといけない。


ふぅとひと息はいて、私はトートバッグを肩に提げて歩き出した。


図書館へは駅を越えないと着かないんだけど、駅へ向かうにつれてどんどん人が増えていく。


わぁ、やっぱり混んでるなぁ。


あまり人混みは得意じゃないから、早く歩いて図書館まで行こう。


歩くスピードを加速しようとしたその時。


私から少し離れたところから…見覚えのある背中が見える。


その人は、人混みに紛れているけれど普段の制服姿とは違って今は私服姿だけれど、あの背格好にあの眩しい感じのオーラは____…間違いない、穂先輩…だ。


離れたところからでも穂先輩を認識できてしまう自分に、そして私の地元の駅でなぜか穂先輩を見つけたことに、私は驚いた。


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