穂先輩が甘々すぎる。
どうして、穂先輩がこんなところにいるの…?
学校でも圧倒的なオーラを放っていて目立つ先輩は、街中でも同じだった。
穂先輩は私に背を向けているから視界に映るのは後ろ姿だけだけど、つい目を奪われる。
それは私だけじゃなくて、周りの人々もそうらしく、みんなが穂先輩を二度見する。
ていうか、私の地元であるこの辺は、穂先輩のお家からは遠いと思うし…。
それに、穂先輩の住んでいる地域の方がもっと遊ぶ場所があって、交通の利便性が良い都会だと思うんだけど。
穂先輩がここにいる理由が思い当たらない。
…って私、穂先輩のことをなんでも知っているわけじゃないから当然か。
それにしても、すごい偶然だ。
さっきまで、会うのが少し気まずいとか顔合わせられないかもとか考えていたくせに、無意識に足は穂先輩の方へ駆け出そうとしていた。
_____でも、駆け出さなかった。
穂先輩の隣には、人がいて…誰か、女の人と一緒に歩いていたから。
え…?
穂先輩の隣にいるあの人って…。
どくんどくんと、私の心臓が嫌な音を鳴らす。
額から流れる汗は初夏のこの気温によるものなのか、はたまた冷や汗なのかよくわからない。