穂先輩が甘々すぎる。
こんな気持ちなので、正直…勉強にも集中できてないんだ。
教科書や参考書、ノートを開いてシャーペンを握り、勉強する体勢は完璧なのに、全然ペンが進まない。
頭も回らない。
私の脳みその中の引き出しの大部分を占めている穂先輩が原因だ。
古文や数式や英文に目を通しても、それらが頭に入ることはなくて、スーッと右から左に抜けていくよう。
何をしているんだろう…私。
勉強することを理由に穂先輩と会うことを拒んだのに、勉強もできていない。
本当、馬鹿だなあ…。
放課後になると、私は足早に図書室へ向かう。
2年生の校舎や下駄箱は通らないから、穂先輩とばったり会う可能性は低いんだけど、万が一のことを考えてできるだけ身をひそめて図書室まで足を運ぶ。
図書室に居残るのは、今日が3日目。
つまり穂先輩とも、3日間会っていない。