穂先輩が甘々すぎる。
「なあ、それよりさ。お前、名前は?」
「あ、天沢です…。」
「下の名前は?」
「ほ、ほたる…です…。」
私の…名前…。
下の名前を名乗るのは、苦手だ。
だって…。
「へえ、ほたるか。…なんでそんな自信なさそうに名乗るんだよ?」
「…な、名前負け…してるので…。」
“ほたる”という私の名前。
私には…全然似合わない名前。
「女子っぽくて、かわいい名前じゃん。」
「え…?」
「ほたる。」
ストレートに名前がかわいいと言われて、戸惑った。
そんなことを言われたのは、初めて…。
「けど、私…両親が意味を込めてつけてくれた名前の通りの人間じゃないんです。」
「…へえ?どんな意味なんだ?」
「えっと…たとえ暗いところでも、小さくてもずっと輝いていて欲しい…という意味を込めてつけてくれたみたいなんです。」