穂先輩が甘々すぎる。
引っ込み思案で暗い性格の私には…どこにいても輝くことなんてできない。
だから、私は自分の名前が好きじゃない。
きっとこの人も、ああ確かに名前負けしてるなって、思っていると思う。
けど、目の前の彼から返ってきた言葉は予想外のものだった。
「…すげぇいい名前じゃん。名前負けなんて、してないと思うけど。」
「な…っ」
いい名前…なんて。
思わず、今まで俯いていた顔を勢いよく上げ、彼を見上げてしまった。
「…あ、やっとこっち見た。」
「………っ」
彼は、私の目を見て嬉しそうに片方の口の端をあげている。
…いつもなら、私は人と目が合ってもすぐ視線を逸らしてしまうのに、なぜか逸らせなかった。
交わった視線が固定されたように、彼を見上げ続けた。
…今までちゃんと見ていなかったけど…すごく、かっこいい人だ。