穂先輩が甘々すぎる。
そして、その場にぴたりと立ち止まって、振り返って私を見下ろした。
穂先輩の表情は少し戸惑いがちというか、どこか物事を言いにくそうな表情だ。
「…え、うーん…まあ。」
返ってきたのは曖昧な答え。
さっきのみんなの様子から、先輩が有名であることには間違いがなさそうだけど。
自分自身のことだから、はっきりと答えにくそうな感じかな。
「女の子から人気…とか、ですよね…?」
「…まあ、そーかも。」
私の質問に、眉間に皺を寄せた穂先輩。
あれ…なんだか、嫌そう…?
「全然、嬉しくないけどな。」
「そ、そうなんですか…?」
私は目をぱちくりとさせた。
異性から人気があるのは、そんなに嬉しいものじゃないのかな…?
穂先輩は曇った表情で後頭部をガシガシとかいた。
「周りの女にまったく興味ないし。いちいち叫ぶやつらも好きじゃない。」