穂先輩が甘々すぎる。
「な、なるほど…。」
穂先輩のその声色から、本当に嬉しくないような気持ちが伝わってきた。
私は、一生穂先輩のような境遇に立つことはないだろうなぁ。
周りの女の子に興味がない…かあ。
じゃあ、私は…?
「行こうぜ。」
「あっ、はい…!」
また、私が考える暇もなく穂先輩が再び歩き出したので、思わず追いかけるようについて行った。
けど待って、私。
穂先輩ってやっぱり…ていうか確実にこの学校の有名人みたいだし。
そんな先輩の隣を私みたいな影の薄い女なんかが歩いていたら、色々とまずい気がする。
穂先輩のファンの方々に袋叩きにされちゃうんじゃ…。
穂先輩には申し訳ないけどやっぱり…適当に理由をつけて、ひとりで帰ろう…!
そう決意して、下駄箱に着きローファーに履き替えた私は、2年生の下駄箱にいる穂先輩のもとへと駆け寄った。