穂先輩が甘々すぎる。
穂先輩の言葉に、私はサーっと顔が青ざめた。
友達と帰るっていう嘘をついたことだけじゃなくて、そこまでバレてしまってる。
「昼休みに会った時も、裏庭なんかに1人だったし。さっきも、ほたるに声かけるちょっと前から廊下で待ってたんだけど。ほたる、ずっとひとりで座ってたからさ。」
「……っ」
私のバカ。
なんでごまかせない嘘をついちゃったんだろう。
私は少し俯いて、肩にかけたスクバの持ち手をぎゅっと握りしめた。
「せ、先輩の言う通り…です。」
「…そっか。なんかごめん。」
…え?
頭上から降ってきた思いがけない謝罪に、脳内がはてなマークで埋め尽くされる。
俯いた私の頭をふわりと軽く撫でた先輩は、再びゆっくりと歩き出した。
私はまたそれを追いかけるように、小走りでついていく。