穂先輩が甘々すぎる。



「ほたるはさ、自分の殻に閉じこもっちゃってると思うんだよな。」


「えっと、はい…。」



私は内向的で、周りの人との間に壁を作ってしまってるのは十分自覚している。


だから穂先輩にこくりと頷いた。



「でも、そういう自分が好きじゃないんだろ?」


「は、はい…。」


「なら、まずはさ。たとえば朝、教室に入ったらおはようってみんなに挨拶をするとか、そういうのから始めてみたらどうだ?」


「挨拶…ですか?」


「うん。いきなりペラペラと話すのは難しいと思うけど、挨拶からならしやすいと思うんだ。」


「なるほど…。」



たしかに穂先輩の言う通り、挨拶をすることからなら努力できそうかも。


緊張はするけれど。



「あと、今俺に対してできているように、相手の目をきちんと見ること。」


「……っ」



ずいっと寄ってきた穂先輩との距離が縮まって、私は心臓が止まりそうになる。


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