穂先輩が甘々すぎる。
ち、近い近い…っ!
目の前の綺麗なお顔を直視することが私には、恥ずかしくて、難しい。
穂先輩は、距離が近くなっても特に変わらないリズムで淡々と言葉を並べる。
「あ、でもずっと相手の目を見るのって難しいから、時々相手の眉間とか首元あたりに視線ずらしてもいいと思うけど。」
「は、はい…。」
「ほたるは、うつむき気味で髪で表情が隠れちゃってるからさ。それだと相手もほたるの表情が見えないから、ほたるが何を考えてるかわからないだろ?」
「………………。」
たしかに、それも先輩の言う通り。
そしてそれは、その逆もまた然り。
私も今まで、目の前の相手の表情を見ていなかった。
…怖くて、見ようとしていなかった。
「だから、顔を上げてみ。笑顔があるとなおよし。」
「え、笑顔…ですか…。」