穂先輩が甘々すぎる。

この性格だからといって、今まで自分からコミュニケーションをとることを諦めていた。


それじゃ、ダメなんだ。


ずっと前から本当はわかっていたけれど、前に踏み出せなかったんだ。


けれど…穂先輩にアドバイスしてもらって、なんだか頑張ってみたいって気持ちになる。


笑顔…笑顔。


ぎこちなく、口の両端に弧を描いて。



「がんばり、ます…。」



…多分、人前で笑うことが苦手な私は今すごいぶさいくな笑顔をしていると思う。



「…なにその笑顔。かわい。」



先輩に笑われるかも…と思ったけど、なぜか口元を手で覆った穂先輩は私の頭を撫でた。


笑っているわけではなさそうだ。


私はなんだか恥ずかしくて、口を尖らせてそっぽを向いた。



「か、かわいくなんて…」


「かわいいよ。めちゃくちゃ。」


「………っ」