穂先輩が甘々すぎる。
「ねえ…あの子だよ。」
「うわ、ほんとに地味な子じゃん。」
「なんで、霜月くんがあんな子と一緒なワケ?」
こちらに向かって、女の子たちからの心ない言葉がひそひそと聞こえてくる。
…きっと、穂先輩のファンの人たちだ。
私はばっと俯いて、胸の位置でぎゅっと拳を握った。
握った拳は、ぷるぷると小さく震える。
「ふぅ…っ…」
そして、少し…呼吸が乱れる。
多分、私…怖いって思ってる。
ぎゅうっと目を瞑って、深く呼吸をするように心がけた。
…この恐怖で一気に、昨日までの自分に戻ったような感覚に陥った。
自分は…少し成長できたつもりでも。
周りの人からは、地味で冴えない子に見え続けているのは変わりないんだよ。
い、嫌だ…。