穂先輩が甘々すぎる。



どうしたのかな…?


もしかして…さっきのことを思い出しているのかな…。



“ほんとに地味な子じゃん”



3年生の先輩に言われた言葉が、私の頭の中で反芻した。


…地味な子、かあ。



「あの…先輩…?」


「…ん?」



私が呼ぶと、先輩は険しい表情を取り払って首を傾げた。



「さっきは…庇ってくれて、ありがとうございました。」


「………ん。」


「けど、私…ああいうふうに言われるの慣れてますから。その…気にしないでくださいね。」



今日みたいに聞こえるように陰口を言われたことは、初めてじゃないから。


だから、言われ慣れているのは本当なの。


けど私がそういうと、穂先輩は再び険しい表情に戻った。



「…慣れるなよ。」


「え…?」


「そんなのに、慣れちゃダメだ。ほたるは…地味なんかじゃない。」


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