穂先輩が甘々すぎる。
穂先輩は後ろを振り返り、私も穂先輩越しに向こうを見つめた。
「…董哉(とうや)。」
穂先輩に名前を呼ばれたその人は、紙パックにささったストローを咥えながらこちらに歩み寄ってくる。
穂先輩よりも背が高く体が大きい人で、ズンとした威圧感を感じて少し怯んだ。
「…あ、この子が穂の。へぇ〜、初めましてっ!」
「は、初めまして…!」
だけど、口調はとっても穏やかで、強張った肩の力が少し抜けた。
にこりと笑顔を向けてくれた董哉…さんに、私は少し深めのお辞儀をする。
すると、円華ちゃんがハッとした表情で董哉さんに声をかけた。
「あーっ、董哉先輩っ!」
「よ。円華。」
円華ちゃんに軽く手をあげる董哉さん、ふたりの様子を見て知り合いなんだなと認識した。
「円華、知り合いなの?」
「うん、バスケ部の先輩っ!」
首を傾げた小夏ちゃんに、円華ちゃんは元気いっぱいに答えた。