穂先輩が甘々すぎる。
年季の入ったベンチに、静かに腰を下ろした。
天を見上げると、綺麗な青空が浮かんでいて視界の端っこで緑樹が風によってさわさわと揺れていた。
いい天気だなぁ。
この綺麗な空を眺めながら、お弁当を食べるのは好き。
ランチバッグのファスナーに手をかけたその時。
「…あ。」
突如、後ろから静かに響いた短くて低い声に私は肩をびくっと揺らした。
今の声は、私に向けられたもののような…?
ベンチに座ったまま、上半身だけ後ろへ振り返ると。
「………?」
そこには…複数人の男子生徒がこちらを向いて立ち止まっていた。
ううん、正確には…その複数人の中心にいる男子生徒が、私のことを見つめていた。
その人の周りにいる人たちは、中心にいる男子生徒の顔を不思議そうに覗き込んでいる。
「なに?知り合い?」
「悪い、董哉(とうや)。先に食堂行ってて。」