穂先輩が甘々すぎる。
「いらっしゃいませ。…ってあら、穂くんじゃない!」
店内に入った私たちを迎えてくれた中年の女性店員さんは、私たちににこりと微笑んだあと、なぜかハッとした表情で穂先輩を見上げた。
「どうも。」
穂先輩は慣れた様子で、その店員さんに軽くぺこりと頭を下げた。
あれ、もしかして知り合いなのかな…?
「どうしたの、こんな早くに。今日、18時からじゃなかった?」
「そうです。」
「あの…ここって…?」
店員さんに相槌を打つ穂先輩に、私が後ろから小さく問いかけると。
「ん?俺のバイト先。」
振り返った穂先輩が、フッと笑って私を見下ろす。
「え、ええっ!?」
私はびっくりして大きく目を見開いて大きな声を発してしまった。
穂先輩、バイトしてたんだ…!
しかも、こんなにおしゃれなお店で。