腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】


 その時、

「鳥羽先生、何のお話ですか?」

 低い、冷たい声が研究室内に響きわたった。
 研究室内が氷点下になったかのように思えて震える。


「す、須藤くん!」


 いたのか、須藤先生!
 急に後ろに現れるから、驚いたじゃないか――――!


 須藤先生は目だけ細めると、あげはに

「あげは? これの経費処理お願いしてもいい? 今週中でいいから」

「はい」

と経費の書類を渡す。


「き、聞いてたのか?」

「なんのことでしょう?」


 聞いていなかったようにそう言われて、ホっとする。
 実家に戻ってくることをすすめたなんて知れたら、自分の身が危ない気がする。

 いや、『気がする』ではない。
 確信だ。

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