腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
そしてリビングのドアが開き、上の兄・悠一が入ってきたのだ。
あげはちゃんは驚いたように兄を見ると、
「お、お帰りなさい。お邪魔してます」
と頭を下げた。
悠一は嬉しそうに緩んだ口元を隠しもせず、あげはちゃんに微笑む。
人のことは言えないけど、口元が緩みすぎだ。
「もしかしてきみ、あげはちゃん?」
「え……あ、そうですけど」
「聞いてた通りだなぁ」
「何聞いてたんですか」
あげはちゃんが困ったように私を見た。私は苦笑する。
そういえば、かわいさが過ぎている日(ほとんどだが)は、家であげはちゃんの話題を出していた気がする。無意識の産物だ。
「っていうか芦屋先生! お兄さんのどこがおっさんですか! 普通にかっこいいじゃないですか!」
「なら兄と結婚すればうちの子だったのにぃ」
それはそれで兄に取られるのは微妙だけど、同じ屋根の下にあげはちゃんがいるのはやはり嬉しいだろう。
今は須藤先生が独り占めしてるんだもん。どう考えても狡いわよ。