腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
そういえば、と私は嫌な予感がして、悠一に
「祐樹は?」
下の兄の動向を探る。
「そろそろ帰るって」
「えぇ、祐樹までこんなに早く帰ってくるの?」
そう言ったとき、
「ただいまー。まったく、今日さー……」
と玄関の方で声がして私は眉を寄せた。
そしてリビングに入ってきた祐樹は目を丸くしてあげはちゃんを見る。
「って、なにこの子」
「すみません、勝手にお邪魔してしまって」
「うっわー! 何この子、触っていい⁉」
突然の祐樹の申し出に、あげはちゃんは固まってしまう。
私は、あげはちゃんをここぞとばかりに抱き寄せると、
「だめに決まってるでしょう。私のなんだから」
「芦屋先生のものでもないですけど」
とあげはちゃんが苦笑する。
その姿がかわいくて腕に力をさらに込めた。すると祐樹は、
「先生って言ってるってことは大学の子? だめじゃん、生徒に手を出しちゃ」
「これでも生徒じゃないのよ。トバ研の事務員」
「……あぁ、あげはちゃんか」
祐樹が納得すると、あげはちゃんが心底驚いた表情でこちらを見ている。