腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】


 朝食の時、母だけ嬉しそうに喋りまくって、須藤先生はそれに笑いながら相槌を打っている。
 でも長い付き合いだからわかる。

 須藤先生、やっぱり機嫌悪い。

 私はというと、なぜか気まずくてもくもくとご飯を食べていた。
 これは、私が悪いんじゃないよね?





「行こう」

 朝食が終わって歯を磨き終わったとき、須藤先生が私を見て話しかけてきた。


「え?」

「同じ場所に行くのにバラバラに行くのもおかしいでしょ」

「あ、はい」

「車乗って」


 そういえば、須藤先生って車通勤だった。
 車種なんて全然わかんないけど、父も乗っている同じセダンのシルバーカラー。

 当たり前みたいに助手席の戸をあけられて誘導される。
 母は一緒に玄関口までやってきて、仲良く通勤なんていいわねぇ、とうっとり見つめる。

 仲が悪くもないが、よくもない。
 そこは誤解しないでほしい。


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