腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
「いっ、いたんですか?」
「えー。だってさ、ここで誰かにとられたらキツイよ。今の段階でさぁ」
須藤先生が苦笑して言う。
そしてなぜか私の髪を一束とって、口づける。
―――こいつ、朝からナチュラルに何してんだ!
そう思って睨んでみても、須藤先生はまったくそんなことは気にせずに話を続ける。
「なんだか心配なんだよね。ここまで毎日渇望していたものが、ここでかっさらわれたら絶対泣く。っていうかさ、前も実際かっさらわれそうになってたわけでしょ。できることならずっと閉じ込めときたいし、それに、無理矢理今すぐどうこうしたいけどね。でも、そこはほら、大人として我慢してるわけ」
恨み言のようにそんなことを呟かれて、私は身を引く。
ちょ、なんか怖い事言ってない⁉ この人!
時々須藤先生がわからない。
この一週間に関してはほとんどわからない。