狼男 無限自殺 編
第9話
前編
第9話
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21時を過ぎてからしばらく・・・。
最後の1人と思われるスタッフが店内から出る姿を確認した。
これで・・中に残っているのは、
店長のリンのみ・・。
「行くぞ。」
「・・。」
もう“携帯”する必要は無い。
もう隠す必要は無い。
綾野と二人、刀を抜いて“ブン”と振る。
小刀サイズだった刀身を伸ばして、
右手に持ち替えた後・・
ヴァンパイアの目潰し攻撃を教訓として、
椿刑事部長が用意してくれた暗視スコープ付きゴーグルを掛けた。
“カラン カラン”
「・・・・・・・・・・・。」
「・・。」
まるで俺達を迎え入れるように、
通常の閉店時間であれば頑丈に施錠されているはずの正面扉が開く。
五感を研ぎ澄ましてその気配を覗う・・。
パッと広がった視界にリンの姿はまだ無い。
『あら~!そのサングラス・・
マトリックスみたいでカッコいい~!』
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・。」
いちいち声が聞こえてくる事に反応している暇は無い。
綾野と背中合わせになりながら・・
慎重に店内を見渡す。