狼男  無限自殺 編


『・・・・・・・・・・・。』


「ガァア!!・・痛てぇ・・・!!!」


『・・・へぇ?咄嗟の機転も利くなんて・・お兄さんモテそうだね。』



意識が完全に飛びかける前に、なんとか刀を離してホルスターへ手を伸ばせた。


なんとか・・撃鉄を上げて、自分の左上腕二頭筋に向けて発砲できた・・!


貫通した“痛み”が支配する・・。

おかげで・・クロロホルムによる麻酔眠が吹っ飛んでいく。



「ハァハァ・・ハァハァ・・。」


!?・・・どこ行った・・!?


『横だよ♡』


「!!」


刀を拾い上げた瞬間と、
蹴りを入れられるタイミングが重なる。


なんとか柄は掴めたが、体ごと吹っ飛ばされてどこかの宝石ケースに受け止められる・・。


『あ~あ。そこにはざっと440万分の商品が入ってるのに~。』


「綾野・・・!」


リンが意識を失って倒れる綾野の頭部に右足を・・踏みつけやがる・・!


『ねぇイケメンお兄さん?
【2番勝負】してあげる♡』


「なんだと・・!?」


『第1ラウンドは私のステージにアンタを招待してあげるね。』


「・・・・・・・・・。」


『こっちの塩顔イケメンを[起こせたら]アンタの勝ち。

第2ラウンドは正々堂々アンタ達と戦ってあげるね♡』


「何をさっきから訳分からん事を・・!」


『ねぇホントにここで暴れられたら私店長クビになっちゃうから~。屋上で待ってる♪

もし第1ラウンドを勝ち上がれたら・・

そこのスタッフヤードから非常階段行けるから、塩顔お兄さんと来て♡』


「・・・言っとくが・・ここ最近の戦績だと俺より綾野の方が強いからな・・?」


『へぇ・・?』


「俺の相棒を舐めるなよ!?
必ず2人でお前を討ち取る・・!」



『だったら救い出してみなさいよ?
コイツを【あの悪夢】から・・・。』



「なに・・・・?」


『言っとくけど、私は第1ラウンドで終わらせる気マンマンだよ?

2人纏めて喰べちゃうから♡』




・・・・・・・!?


「!!!」
『!!!!!』


瞬間、音も無く突っ込んできたリンの体を刀で受け止める・・!


『無理しないで~!
右腕一本じゃ抑えきれないでしょ?』


「・・・ッ・・!!」


力負けした直後、リンがハンカチのような布を俺の鼻に押しつけてきた・・!

また・・クロロホ・・・




『晚安・・和我一起去做梦吧♡(おやすみ・・私と一緒に彼の夢へ行くよっ♡)』










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