狼男  無限自殺 編


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


!?・・まばたきをした瞬間・・
場面が変わった・・?


さっきまで群馬県警にいたのに、
いつの間にか・・バイクの後ろ・・?


「綾野か?」


「・・・・・・・・・・。」


走行中のバイク。

スロットルを握るその後ろ姿だけで分かった。

BMUが発足してからすっかり俺達の“移動手段”になっていたいつもの光景・・。

いつの間にか俺は、綾野が運転する白バイの後ろに乗っている・・。


こんな時になんだが・・

警察官同士の間でも一種の“憧れ”になっている“白バイ”にこんな形で乗れるとは・・。


「綾野。返事してくれ。君が返事するまで俺はずっと呼びかけるぞ?」


「・・・・・・・・。」


ダメ元で前へ声を掛けるが当たり前のように無反応・・。今は・・パトロール中なのか?


綾野はひたすら大通りの走行を続けている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・ひたすら走っている・・・。


休憩もろくに取らず・・
群馬中を走り回っている。


綾野の運転技術については、
椿刑事部長から聞いていたし、

実際に何度も後ろに乗ってきたから分かる。


正確なライン取りで、
全くストレスがかからない。



「・・・・・・・・・・・・。」


どうやら・・俺はこの世界では浮遊霊のような扱いらしい。

わざわざバイクにしがみつかまなくても、

自由に体を動かせて、周りを伺ってもこの体が振り落とされる事は無い。


「・・・・・・・・・・・。」


当たり前だが・・

【白バイが走っている】から・・

周りを走る乗用車やトラックはお行儀良く走行している。


綾野がいなくなった途端に、
どんな運転をするかはさておき、

たった一台の白バイのおかげで、

このバイパスの法定速度が安定して、信号の変わり目に無理して突っ込む車も無く、

安全な光景が繰り広げられる。









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