狼男 無限自殺 編
「現場に不審な点があったんですか?」
「いや、まっっっっったく無い。
第三者の指紋や不自然な外傷も無し。
遺族があろうことか司法解剖まで要求してきたから、
お望み通りガッツリ調べさせてもらったよ。
怪しそうな薬物も検出されなかったし、
刑事ドラマであるある展開な、“自殺に見せかけた他殺”っていう線は皆無だ。」
松本さんがノートPCをドンと俺達の前に置く。
「そんで極めつけはこれ。
絶対的な証拠だ。」
「・・・・・・・・。」
「・・。」
・・なるほど・・防犯カメラか・・・。
綾野と一緒に覗き込む画面。
そこには屋上へ続く階段の映像。
更に違うカメラからの映像では、
屋上全体のアングルも映っている。
「被害者が住んでた自宅マンションには至る所に防犯カメラが設置されていた。
だから、こうして“瞬間”もちゃんと録画されてた。」
画面の中、やがて現れる一人の女性。
俯いたまま、でも足取りは遅いながらもしっかりとしている。
もちろん、女性の前後左右には誰もいない。