狼男  無限自殺 編


『自己紹介から始めようか?

俺の名前は【椿 マサムネ】
お前達のボスの息子だ。』


「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」


『お前達が称している“怪人名”で言うならば・・俺は【狼男】

この世界に生息する種族で、
最も崇高な生物と言ってもいいだろう。』


椿刑事部長の息子・・?

“なんだと・・?”
というリアクションも出来ない。


狼男・・・?

“どういう事だ・・?”
という頭の理解も追いつかない。


ただただ蛇に睨まれた蛙のように・・

俺達の目の前に立つ怪物に・・
その殺気に口すら動かせない・・。



『賢い獣は狩りにいちいち全力を出さない。

【獲物が弱ったところを殺る】

計算通り、獏ごときに手こずってくれて礼を言っておこう。

あの中国女にお前達の情報を渡しておいて正解だった。』


「だから・・リンは俺達の事を知っていたのか・・?」


ようやく口が動いた。
ようやく・・折れていた心が戻ってきた。


「・・・ユウマさん・・・。
“災難は畳みかけるもの”ですね・・。」


肩を担ぎ合う綾野も同じ覚悟のようだ・・。



『フハハ・・お前達に恨みは無いが、
【宣戦布告】するにはうってつけの餌だ。

・・・・3秒で死んでもらう。』



「・・・・・・。」
「・・・・。」


担ぎ合っていた肩を離して・・
再び左腰に手を伸ばす。

立ってるだけで倒れそうな今の状態・・
そんな弱音を吐いてる場合じゃない。


綾野と共に刀を抜いて、目の前に立つ“狼男”に刃先を向ける・・!!



『・・・・・・・・・・?』





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