狼男  無限自殺 編


ちょっとずつだけど・・今日までの“点”が少しずつ“線”になっていく。


なぜ椿刑事部長はヴァンパイアの存在を予感していたのか、

なぜ携帯できる刀という秘密兵器を用意していたのか、

自らがそうであるから・・“怪人”という存在を自信を持って肯定していた事・・。




「椿さん・・教えて頂けませんか?

僕やユウマさんに・・狼男の事や・・
椿さんのお家やご親戚のお家の事を。」


「私の家族の話や椿家の事なら何でもお話できますが、

実は私もこう見えて“小物”でして、
私達の正体については、

【どこまで話していいか?】
の判断ができません。」


「「・・・・・・・・。」」


「だから今日だけ、
話し相手を交代してもいいですか?」


「「・・・・?」」







“カラカラ”


病室のスライドドアの開く音がする。

俺も綾野もまだ起き上がれる状態ではないので、

入ってきたその人が視界に入ってくるのを待つと・・?


県警刑事部のトップに立つ椿刑事部長が・・まるで俺達⇒椿刑事部長に取る態度のように、

すぐさま席を立って、
その人へ一礼する・・。


「ご足労かけて申し訳ございません。」


「ボケェ。てめぇで作った組織の部下に、

てめぇの正体がバレてちゃ世話ねぇなサコン。」


「向かって右のベッドが綾野君。
左のベッドが玉置君です。」


「ボケナス。わざわざ紹介せんでもこいつらの顔写真ぐらい頭に入っとるわ。」



ヤクザもんか?
と思わず言葉が出そうになるほど・・

イカツすぎる坊主頭の男が丸椅子にガタンと座った。


スーツ姿もビシッとしているというより、

長年の染みみたいな貫禄を醸し出している・・。


椿刑事部長への口振りを見るに、
年齢は同じぐらい・・?


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