狼男 無限自殺 編
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「色々とありがとうございました。ケンシンが公安にいてくれて本当に助かってます。」
「ボケェ。礼を言うのはマサムネを殺してから言え。」
「申し訳ございません。」
「キョウスケが[わざと逃がした]というのは本当か?」
「いえ、そのような事はありません。
ユウマ君と綾野君をショウゴが病院まで担ぎ込む間の時間は稼いでくれましたが、
結局キョウスケは“成らなかった”ので、
完敗したそうです。
ただ、成らなかったからこそマサムネも、
『“人”のお前を殺してもつまらん』と、
トドメを刺さずに見逃したようです。」
「だったら良いが、甥子と言えども抜け狼に同情しやがったら容赦しねぇからな。」
「しかしこれでハッキリしました。狼になった者は狼になった者しか止められません。」
「ボケナス。[その時]の定義を[裏切り者が出た時]と捉えればいいだけの話だ。
ご先祖様だって“抜け狼”が生まれる可能性を想定していたはずだろう。」
「お家騒動が勃発する事を見越してのあの言い伝えですか。一理ありますね。」
「とにかく、本家は相当なお怒りだ。
次はショウゴもキョウスケも最初から成って、マサムネを始末しておけ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「ボケェ。何か文句でもあんのか?」
「・・いえ、分かりました。
私から言っておきます。」
「キョウスケには俺からも言っておこう。
大体・・“フウジン様の生まれ変わり”と称される才覚を秘めてるのも分かるが、
兄者も本家もアイツを甘やかしすぎだ。」